2010年に山陰旅行をした際に、鳥取県の三徳山(みとくさん)へ行ってきました。
三徳山は修験道の聖地で、三仏寺(さんぶつじ)の投入堂(なげいれどう)は国宝でもあります。
恥ずかしながら旅行直前までその存在を知らず、観光スポットをネットで調べた際に興味深かったので急遽行くことにしたのです。
どうも投入堂が断崖絶壁にへばりつく名建築ということらしく、胸をときめかせながら大阪からはるばる車を走らせたのでした。
場所は鳥取市から県道21号線で西へ少し行った所。
車を走らせていると、それらしき場所に到着。
道路脇に車がたくさん停まっています。
近くには大きな駐車場もあり、そこに車を停め、三徳山入り口へ向かいました。
しばらく歩くと、三徳山三仏寺入り口の階段が現れます。
大人600円(2011年時点)の入山料を払い、三仏寺本堂を目指して登ります。
途中にはお堂などがたくさんあり、参拝客を迎えてくれます。
さらに階段が続きます。
階段が大好きで夜も枕元に置いて寝ている自分にはなんともありませんでしたが、階段が嫌いな方にはけっこうきついかもしれません。
水分とって、入山する前にバテないように注意しましょう。
そして本堂までやってきました。
本堂の中でこんなものを見つけました。「凡夫のこころ」
最初の数行は「うんうん」と読んでいましたが、その先を読むうちに、
「いくらなんでもここまで傲慢なやつはそうそういないだろう!」
とツッコミを入れてしまいました。
凡夫のこころ
気づいてみれば恥ずかしい 知恵も力もないくせに
己が力でなにもかも できるやれると思い込み
生きているのも我が力 食うているのも我が力
誰の世話にもならんぞと 力むわが身の身体さえ
生まれたときから死ぬるまで 人のお世話になりどうし
吐く息 吸う息 みな空気 水一滴もみ仏の
恵みなければ得られない お陰を知らず愚痴小言
わが身勝手を棚に上げ 人の落度のあらさがし
よその秘密を聞きたがり 言うなと言えば言いたがる
人が困ればうれしがり 友の成功ねたましい
少しのことを恩にきせ 受けたご恩は忘れがち
見よと言われりゃ見たがらず 見るなと言えばなお見たい
するなと言えばしたくなり せよと言われりゃいやになる
天の邪鬼ではないけれど 素直になれば敗けたよに
思う心のひねくれを どうすることもできぬ我
あぁ恥ずかしや 我が心 地獄行きとは我がことよ
それを地獄へやるまいと 四十八願 手を広げ
救わにゃおかぬご誓願 仏陀のご恩の尊さを
知らせ給える祖師知識 あぁありがたや南無阿弥陀仏
三徳山 三仏寺
いやいや。ここまで性格捻くれた奴ワテは知人では1人くらいしか知らんで!
そもそもこんな捻くれた奴は反省しないから「地獄行きとは我がことよ!」と嘆かない。
矛盾している。
あと、本当にここまで酷い奴は救わなくてええから!! 仏陀!救わなくてええから!
本堂で登山の安全を祈願し、入山案内所へ入ります。
投入堂は三徳山の険しい山道を登った先にあります。
三徳山は距離はそれほど長くないものの、修験道の聖地だけあり、かなり険しい山道が続きます。
登山中の事故多発のため、現在は1人で入山することは許可されません。
(ただし、料金を払ってガイドの方に案内してもらうことはできます)
三徳山へ行くときは2人以上で行きましょう。
また険しい山道のため、靴の選択が重要になります。
案内所でまず靴をチェックされ、登山に適していないと判断されると入山を許可されません。
その場合はわらじを500円で購入し、登山することができます。
一緒に行った友人の靴は大丈夫だったのですが、自分は「この靴ではダメです」と言われたので、わらじを履くことになりました。(わらじ体験をしてみたかったので、内心うれしかったです。)
OH!わらじの足にフィットする感触。とても気持ちがいい!
このほんのりチクチクとした細草の心地よい刺激。
わらじの履き方も丁寧に教えてもらえるので安心です。( ^ω^)
ちなみに登山者は修験道者を体験するということで、たすきをかけて登山することが義務づけられます。(もちろん貸してくれるので安心)
入山口に看板がありました。
「投入堂参拝は厳しい試練の道 観光気分での入山はご遠慮願います」
うわ めっちゃ観光気分やん ! (´・ω・`)
むしろ観光が本体。観光以外特に何もない。
と思っても時すでにお寿司。気を引き締めて登山を開始したのです。
ひとたび山に入れば空気は一変。
澄んだ空気と樹齢100年を優に超える大木が出迎えてくれます。
杉の香りがして、小鳥のさえずりが聞こえてくる。そして綺麗な沢。
さらさらと心地の良い音に耳を済ませていると、心がおちつきます。
さすがに修験道 険しい道が続きます。
なんだか。。。プレイステーションのアクションゲーム、鬼武者を思い出させる道です。
幻魔出てくんじゃねーぞ。。
※鬼武者2より
途中に祠などがあったり。
道はかなり険しいです。ハイキング気分で登れる山ではありません。
参拝する方は覚悟したほうがいいです。
この日はあいにくの雨模様で、石がぬかるみ特に危険でした。
しかしそこはわらじの力!
これはすごい!!足にフィットし、濡れた石にもガッチリと吸い付く。
まったく不安を感じませんでした。
あと足裏のわらじの感触がとにかく気持ちええんよね。
かたや普通の靴で登っていた人は滑って大変そうでした。
靴での登山が許可されても、ぜひわらじで登ることをおすすめします!
ただし、雨で道がぬかるんでいるような日はわらじに水が滲みこんで冷たいという欠点もありますが。。
荒々しい岩場をどんどん登っていきます。
三徳山の登山道にはいくつかのお堂があります。
一番奥には投入堂があるのですが、途中にも魅力的な建造物があります。
まず登山者を出迎えてくれるのは文殊堂です。
そしてこれが文殊堂直前の岩場です!
( ゚д゚)・・・
「これ登るの!?ほんとに登るの!?」 と何度も叫んでしまいました。
槍ヶ岳かここは!! チョモランマァ~。。
写真だとそうでもないけど、実際に見るとただの垂直な壁にしか見えない。
(奥に見える柱が文殊堂の土台部分です)
しかし下から見上げる文殊堂は壮観! ここまで来て登らないわけには行きません。
岩を登ると、最後の難関「くさり坂」が現れます。あとひといき!
そして到着した文殊堂はそれはそれはすごい建築物だったのです。
!!!
こんな断崖絶壁の上に立つお堂がかつてあっただろうか!その景色のなんと美しいこと!
そして怖いのなんのって!落ちたら即死!
っていうか足を滑らせたりコケたりしても即死!
仏陀の心は捻くれたクズ野郎には優しくても、参拝者にはスパルタカスの様に苛烈なのです。
柵もなんにもない!おまけに雨水をはけるために床は外側へ向かって斜めに傾いています。
三徳山の仏は参拝者を殺す気か!!ヽ(`Д´)ノ
この角の部分に立ち、景色を眺めると足がこそばゆくなります ( ̄ω ̄;)
男性はチンKがヒュッっとします。女性はマンK
ここからの景色は他にはないほど素晴らしいのですが、高所恐怖症の人はそんなこと言ってられない状態です。
実際に、後からやってきた人が高所恐怖症のようで、「こわいこわい」を連発して動けなくなってました。
戻るのも怖いので、おそらくそういった人はこの文殊堂に住むしかなくなるのです。
スノーピーク文殊堂店でも作れば、サバイバル用品が沢山売れると思います。
11月下旬で、ちょうど紅葉の美しい季節でした。
しかし、よくもまあこんな場所にこんな建造物を造ったもんだ。
それも室町時代に! 動画も撮りました。
コ、コワス・・ (-公- ;)
自分は高所恐怖症ではないのですが、それでも正直余裕はありませんでした。
しかしここから先がさらに難関だったのです。
この文殊堂の裏に大きな岩があり両側が崖になっているのですが、そこを通らなければ先には行けないのです。
写真ではなかなか伝わりませんが、かなり怖いです。
左も右も奈落の底で、コケたら死ぬでござる。
さきほど動けなくなっていた人は「無理無理無理!」と言って、ここまでは来れないようでした。
途中の岩場に「落下事故現場」と書いた立て札があり、恐怖感の演出にも余念がありません。
そしてさらにしばらく山道を進むと、
文殊堂とほとんど瓜二つの地蔵堂が出てきます。
さながら文殊堂のスペアといった感じです。
こちらも御多分に漏れず、断崖絶壁の柵なしテラスを楽しめます。
標高はこちらの地蔵堂のほうが上ですが、文殊堂のほうがより険しい岩の上に建っており、恐怖感は文殊堂が上です。(といっても大差はなし)
しかもこっちは木々が多く、落ちてもワンチャンひっかかる!(`・ω・´)
文殊堂と地蔵堂は室町時代の建造で、ともに重要文化財です。
しかしすごい!これは一度は見る価値大ありですよ!
柱がカッケー!
地蔵堂の近くには鐘楼堂があり、そこで鐘を突くこともできます。
鐘突きに夢中になりすぎて写真を撮り忘れました (-公- ;)。。
ガンガンガンガン♪ ( ^ω^)つ━━━|鐘| ゴーン♪ ゴーン♪
他人から「あいつどんだけ鐘突くねーん!」って目で見られました。
さあもうひといき!岩がゴツゴツと険しい山道をさらに進むと、観音堂が現れます。
この建築は江戸時代前期のもので、指定保護文化財となっています。
この観音堂はちょうど岩のくぼみにすっぽりとはまるように建てられており(ネコ的)、観音堂の裏側を回るとさらに先へ進めます。
(ワイ的にゼルダの謎解いた時の音が鳴るイメージ)
観音堂の反対側へ出て先を進むと、、
ついにきたあ!!! 投入堂!!!
おおおおおおお (ノ゚ο゚)ノ
さすが国宝! 世界の名建築や!!
中国の懸空寺を彷彿とさせる断崖絶壁と壁へのへばりつき具合!
これ竣工が平安時代というから驚き。
今日まで1000年以上、地震などが起こっても落ちなかったわけです。
当時の建築技術の高さを思い知らされます。やべーよね!
手前にある小さな建造物は不動堂です。
さて、投入堂の名前の由来ですが、
「その昔、修験道の開祖、役行者(えんのぎょうじゃ)が、投げ入れて造った」
という伝説からだそうです。
( ゚д゚)・・・
役行者どんだけ強肩なんや!!
これを投入れるパワーって、マーブルスーパーヒーローズのハルクしか思い浮かばない。
役行者恐ろしすぎやろ!! ( ̄ω ̄;)
こんな人だったんか!!もはや人間じゃない!
確か美輪明宏が役行者の生まれ変わりと言っているから、まあ確かに人間じゃないのかも。
残念ながら投入堂には一般観光客が入ることは許されません。
特別な行事の時に、僧侶のみが内部に入るそうです。
しかしよく見ると、一体どこから入るのかわからない。
どこにも道やはしごはありませんし、下は断崖絶壁で上もかなり高い場所まで切り立つ岩です。
おそらくヘリで縄ばしごを使って入るのでしょう。
あるいはふもとから人間大砲で飛ばされて入るか、超強肩の役行者にふもとから投入れてもらうのかもしれません。
パイロットウィングス64の大砲みたいな感じで。
いずれにしてもそれだと入ることはできても出ることはできず、入ったものはそこで暮らすしかなくなる、怖ろしい建造物でもあったのです。(ウソ)
役行者の偉大なるパワーと建築美を楽しんだ後、下山しました。
(下山のほうが危ないので注意!)
建築好きな方、登山好きな方、自然好きな方、絶対におすすめできます!
登山慣れしている人で投入堂まで50分程度ですが、念のため片道1時間半くらいの余裕をもっておいてください。
三徳山三仏寺 ぜひ一度!
(ただこの記事書いたのは2011年の事で、その後2016年に鳥取地震が起こって三徳山が一時閉鎖されたニュースもあったので、行く際は事前に状況を調べてくだされ!)
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