閃輝暗点をご存知ですか?

それはある日、そう、私が中学二年生の時のことであった。
給食後、お昼休みが終わり、午後の授業。眠い時間である。
英語の授業だった。
英語は指名されて教科書を読まされたり、質問されたりする頻度の高い教科だ。
昼寝もできない。この時間の英語は憂鬱である。

ぼーっと教師を見ていた。
あれ。なんかおかしい。あれ?教師の片方の目が消えていて見えない。
盲点だろうか?少し見る位置を変えると彼の目が見えた。
なんだ。ほっとしたのも一瞬。今度は彼の口が見えない。
のっぺらぼう?おかしい。盲点はこんなに広範囲ではないはずだ。
第一、両目で見ているのだから盲点が気になるはずもない。
しかし勘違いではない。
明らかに教師の顔の一部がのっぺらぼうのように欠損しているのだ。
目をつぶってみる。ん?なにか変なものが見える。キラキラと光っている。
幾何学的で複雑な図形がキラキラと。
例えるならば光を反射させる虹色のダイヤモンドだろうか。
目を開けて教師を見る。今度は彼の顔すべてが見えない!
「見えない範囲が広がっている!」そう思って目を閉じると、キラキラのダイヤモンドの範囲が広がってきている。
なんだか気分も悪い。そうこうしているうちに授業が終わった。

下校の時間がきて、靴を履き、校門を出る。
家までの帰路、さらにダイヤモンドは大きくなり視界の欠損も巨大になる。
「家に帰ったらすぐに医者にいこう」そう考えながら家についた。
とりあえずしんどいので横になる。
ダイヤモンドは大きくなりながら、視界の中央から端っこへと移動してきている。
「いつになったら消えるのだろう」だんだんダイヤモンドが視界の外へと消えていく。
そしてさらに数分したらダイヤモンドはなくなった。
ほっとしたのもつかの間、その後は強烈な吐き気と頭痛。
「脳出血でもしたのだろうか」とにかくひどく気持ちが悪く、病院へ行く気力もなかった。
日が暮れ、母が仕事から帰ってくる頃には症状がだいぶましになっていた。

視界の欠損、光るダイヤモンド、頭痛、吐き気。
一連のことを母に話すと、「自分も経験がある」と言った。
「なんだ、大したことじゃないのか。」少しほっとして、その日は終わった。

それから数ヶ月、忘れた頃にその症状がまた現われた。
視界の欠損とダイヤモンド、そして頭痛と吐き気が来るのはまったく同じ。
病院へ行った。「それは、偏頭痛というものですね。」医者にそう言われた。
偏頭痛持ちは頭痛の前兆に視界欠損を感じることがあるそうだ。
それからも半年に1回ほどのペースでダイヤモンドが現われた。
しかし年齢を重ねるにつれて、その頻度は減っていった。
最近は一年に1度、起こるか起こらないかくらいまで減ってきた。
しかしつい先日ひさびさにダイヤモンドが現われた。
もう慣れっこだが、原因について調べたくなり、ネットでいろいろ検索してみた。
「閃輝暗点 (せんきあんてん)」このキーワードに辿りついた。
これはやはり偏頭痛持ちの人の一部に現われる現象で、脳の深い場所での出来事。
医学的にも原因は詳しくはわかっていないそうだ。

( ・ω・)つ 閃輝暗点(wikipedia)
このWikiぺディアに載っているイラストが秀逸である。
まさにこのような感じだ。
人によって見え方にも多少の違いがあるようで、自分の場合はもっとカラフルに見える。
例えるならば虹色の液体が流れるダイヤモンドだ。
サイケデリックで、チカチカと点滅する。自分でも描いてみた。

このように、ダイヤモンド部分の視界は欠けてしまう。
経験したことがある人は分かるだろうが、この後高確率で吐き気がくる。
だからこれが出た時は恐怖である。
文章を読んでいる時に、文字が欠損して見えると閃輝暗点がやってくる数分前ということが多い。
閃輝暗点は偏頭痛の前兆現象で、危険な病気の兆候を示さないことがほとんどらしいが、まれに脳梗塞などの可能性もあるという。
また、遺伝性であることも多いらしい。
そういえば母もこれを経験したことがあるし、祖母もあると言っていた。
しかし経験したことがない人からすると「チカチカとダイヤモンドが輝いて文字が読めない!」などと言っている人は頭のおかしな人のようで、「病院行って来い」(おそらく違う意味で)と友人に言われたこともあったものだ。(つω-`。)

この閃輝暗点からインスピレーションを感じて、絵を描く人もいるらしい。
ネットで検索すると色々出てくる。
自分は体の不調などに敏感で、けっこうすぐに医者にいく。
医者嫌いの反対である。
小学生の頃、まだ盲点というものを知らなかったのだが、ある日盲点を見つけてしまってパニックになったことがあった。
「これは病気だ!!!」そう思って恐くなったものである。
というのも、テレビで見たある番組の記憶があったからだ。
「緑内障 その危険」緑内障という病気にかかると視野がどんどん欠損していき、最終的に失明するというのだ。
これは緑内障の兆候だ!!すぐに病院へ行こう!」家に帰り母に保険証をもらい、眼科へ行く。
緑内障だと思うんです!見えない場所があるんです!」医者に大笑いされた記憶がある。
そして盲点というものをその場で教えてもらったのだ。
視界が欠けるというのは、やはりなんだか恐いものである。
実際にそれが重大な病気を示す場合もあるので油断は禁物だ。
病院は早めに行くに限る。
気にして行って、なんでもないと笑われる。それでいいのだ。
前回の閃輝暗点は2009年のことであった。だから約2年ぶりのこと。
2週間ほど前から風邪をひいてしまい、まだ咳も少し残っている。
病み上がりで体調が悪いことも起因したか。
そういえばここ数日ビールをまったく飲みたくない。
ビールを飲みたいときは体調が良い。ビールは健康のバロメーターなのだ。

閃輝暗点を若い頃から持つ人には長生きが多い、というまことしやかな話もあるそうな。
ほんまかいな。。うーん。無病息災よりも一病息災とは言ったものだが。。
持っている人には恐怖の「閃輝暗点」のお話でした。

それではみなさん、ごきげんよう。 ( -ω-)/˜˜˜

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